この記事のポイント
- 日本を除く7カ国の管理職調査で、53%がAI導入後に本人の貢献を評価しにくくなったと回答しました。
- 78%が部下の評価方法を変更し、成果物の出来に加え、AIを使いこなす力も評価対象になっています。
- AI活用に意欲的な管理職は94%ですが、AI基盤が一元化・最適化されているとの回答は29%でした。
仕事の進捗や情報を管理するツールを提供するmonday.comは2026年10月21日、Nielsenに委託した調査レポート「Squinting in the Sun」を公表しました。AIを使った成果物をどう評価し、誰が確認するか。管理職1,701人の回答から、社内でAI活用を進める際の判断材料を整理します。
成果物だけでは、本人の貢献を見分けにくい
調査は、米国・英国・オーストラリア・ドイツ・フランス・ブラジル・シンガポールの7カ国で、従業員500人以上の企業に勤めるディレクターとシニアマネージャー1,701人を対象に、2026年4月に実施されました。日本は対象に含まれず、数値は管理職自身の回答に基づきます。
同社の調査解説で目立つのが、部下の成果物を評価する難しさです。どこまでが本人の力でどこからがAIの支援かを見分けにくくなっていると、53%の管理職が回答しました。実際に評価のやり方を変えたと答えた管理職も78%に上り、AIを扱う能力も評価対象になっています。あわせて、チームの成果物を確認したりAIの関わり方を把握したりする時間が以前より増えたと感じる管理職も、約半数に上るとされています。
利用ツールが増える一方、一元管理は29%にとどまる
個人レベルでのAI活用には前向きな姿勢が目立ちます。94%の管理職が、AIで業務を最適化する機会を見つけることに意欲的と回答しました。一方で、会社全体の活用を支える仕組みは別の状況です。AI導入後にチームで使うソフトウェアツールが増えたと答えた管理職は57%、会社が認めたAIツールと別のAIツールを両方使っていると答えた管理職は51%に上りました。AI基盤が一元化・最適化されていると答えた管理職は29%にとどまっています。
さらに先を見ると、複数の手順を自律的に進めるAIエージェントの管理という課題も控えています。58%の管理職が、1年以内に人間の部下よりAIエージェントを多く管理するようになると見込んでおり、46%がエージェントの行動を把握しきれなくなることを心配し、35%はAIが下した判断の責任を自分が問われることを不安視しています。

まとめ:成果の評価と、AIの確認作業を分けて考える
今回の調査が示すのは、AI活用がもたらす課題が、個人のスキル不足よりも組織の仕組みの問題に移ってきているという同社の見立てです。(AIによる生産性の変化を直接測定した調査ではありません。)評価制度を見直す立場には、成果とAIへの委任判断をどう分けて評価するか、確認作業を誰が担うかを検討する材料になります。
社内で使われているAIツールが会社の承認範囲を超えて広がっている状況は、社内のAI利用を保護するPluto Security、4,200万ドル調達で紹介した「シャドーAI」対策とも関わる課題です。また、AIエージェントの監督という悩みには、Microsoft、AIエージェントの検出と動的な権限制御を拡張で触れた権限管理の仕組みも参考になるでしょう。自社で評価を見直す際は、完成した成果物だけでなく、本人が判断した部分とAIに任せた部分を振り返れるか、現場の管理職と確認するとよいでしょう。
※ 2026年10月時点の情報です。