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NTT、既存システムをAIが読める形に変換する技術を開発

この記事のポイント

  • NTTが、仕様書・設計書・コードのズレを自動で見つけるトレーサビリティ解析技術を発表しました。
  • テストの不足箇所を可視化・自動生成する技術もセットで、既存システムを生成AIが扱いやすい状態に整えます。
  • 予備実験では設計書の誤り検出率が従来手法の27%から80%へ向上したと報告されています。

NTTは2026年10月23日、仕様書・コード・テストの食い違いを自動で見つけ、生成AIが理解・活用しやすい状態まで整える新技術を公式発表しました。既存システムの改修・保守にAIを活用したい担当者向けに、技術の仕組みと予備実験の結果を整理します。

長年運用してきたシステムほど、AIに読み解いてもらいにくい

改修を重ねたシステムでは、仕様書・設計書とコードの内容が少しずつズレていきます。テストも十分に整備されていないことが多く、生成AIに「このシステムはどう動くか」を正確に把握してもらうのが難しくなっていました。NTTの発表資料によると、ソフトウェア開発の約6割が既存システムの追加開発だとされ、この食い違いを放置したままAI活用を進めると、見落としや誤った改修につながりかねません。NTTが開発したのは、この食い違いを自動で検出し、既存システムを生成AIが理解・活用しやすい「AI-Ready」な状態へ整える技術です。

ズレを見つける技術と、テストの穴を埋める技術の2本立て

1つ目は、仕様書やコードなどの対応関係をたどってズレを見つけるトレーサビリティ解析技術です。会議ログ・仕様書・設計書・コード・テストを機能ごとに整理し、前の工程の要点から後の工程の情報を復元して、記載漏れや食い違いを検出します。2つ目は、確認すべき内容の一覧に既存テストを照らし、不足を補うテスト自動生成技術です。異常時の動作や、条件の境目に当たる値、複数条件の組み合わせなどを確認するテストを作ります。

仕様書とコードの食い違いを虫眼鏡で調べ、テストの確認用紙と照合する場面

予備実験では誤り検出率が27%から80%に

NTTはMacchinetta Frameworkのサンプルアプリケーション「ATRS」で予備実験を行いました。設計書の誤り検出(対象41件)では、関連資料を検索して回答に使う従来のRAG手法が11件(27%)だったのに対し、提案手法では33件(80%)を検出したと報告されています。埋め込んだバグの検出(対象6件)では、生成AIが直接生成する方式では検出できなかったのに対し、提案手法では4件(67%)を検出し、既存の潜在バグ3件も見つけたとされています。NTTはこの80%という数値がソフトウェアレビューの平均的な欠陥検出率(68%)を上回ったことも紹介していますが、評価条件が異なるため単純比較はできないと注記しています。この技術は2026年11月18日から25日にかけて開催される「NTT R&D FORUM 2026」で展示予定で、NTTは今後さまざまな規模・特性のシステムへの適用評価や実際の開発・保守案件での検証を進め、実用化をめざすとしています。具体的な商用化の時期は示されていません。

まとめ

既存システムの保守・改修にAIを活用したい担当者にとって、今回の発表は「AIに読ませる前の下ごしらえ」という工程の重要性を示す材料になります。仕様書とコードのズレ、テストの不足という2つの弱点は多くの現場に共通するものであり、NTTが示した数値はまだ実験段階ながら、この弱点を自動で補うための検証結果を示しています。今後は展示や実案件での検証結果を追いながら、自社のシステムにも同様の課題がないか点検してみるとよいでしょう。

※ 2026年10月時点の情報です。

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馬渡 徹郎 / Tetsuro Mawatari ホームページ

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