この記事のポイント
- NVIDIAが、学習済みの重みを公開する音声認識モデル「Nemotron 3.5 Transcribe」を公開しました。
- 40言語の文字起こしと31言語の英語との翻訳に対応。日本語の評価結果も示されています。
- 公式の実行例はH100 80GBを1枚使用。録音済み音声の処理向けで、環境の準備が必要です。
NVIDIAは2026年10月28日、学習済みの重みを公開し自社環境でも動かせる、オープンウェイトの音声認識モデル「Nemotron 3.5 Transcribe」をHugging Faceなどで公開しました。会議や取材の音声をテキスト化する用途で、既存の文字起こしモデルに新しい選択肢が増えたことになります。
録音済みの音声を文字起こしし、英語とも翻訳
ひとことで言うと、Nemotron 3.5 Transcribeは「音声を聞いて文字にし、必要なら英語にも訳してくれるAIモデル」です。全体で約340億パラメータ(実際に処理で動くのは43億パラメータ分)の構成で、言葉を扱う部分と音声を認識する部分を組み合わせたハイブリッド構造を採っています。最大1時間の録音をまとめて処理できます。リアルタイム配信ではなく、録音済み音声を扱うオフライン処理向けです。

日本語の評価結果と、自社GPUで動かす条件
文字起こしは40言語、英語との双方向翻訳は31言語に対応します(日本語も対象)。日本語については、NVIDIAが公開したベンチマークで文字単位の誤り率(CER)が4.42%、翻訳結果と参照訳の一致度を表す、日本語から英語へのスコア(BLEU)が23.00という結果が示されています。公式の実行例はNVIDIA H100 80GBを1枚使用しています。「GPU1枚」であっても、一般的なパソコンのGPUで同様に動くという意味ではありません。録音のたびにクラウドへ送らず、自社のGPU環境で処理したい企業にも向く構成といえます。ライセンスはOpenMDW-1.1で、商用・非商用のいずれの利用も想定されているとされています。NVIDIAが公開した英語の文字起こしベンチマークでは誤り率4.71%(比較対象のQwen3-ASR-1.7Bは4.94%)という結果も示されており、既存の軽量モデルと比べて精度面でも競う位置づけです。利用方法としては、モデルを動かすソフトウエアの「vLLM」や「Transformers」から呼び出せるほか、OpenAI互換のAPI形式でも動かせるとされています。
まとめ
文字起こしAIを検討している担当者にとっては、料金の安さで選ぶ選択肢や既存の文字起こしモデルと比べたうえで、「自社のGPU環境で動かしたい」「オープンウェイトで使いたい」という条件に合うかどうかが選定の軸になりそうです。公表された精度は特定の評価データでの結果です。実際の会議音声で、固有名詞の認識や処理時間を確かめ、GPUの運用費用とあわせて判断するとよいでしょう。
※ 2026年10月時点の情報です。