この記事のポイント
- Salesforceが、本番で動くAIエージェントの品質劣化やコスト超過を継続的に検知する機能をAgent Fabric向けに発表しました。
- 基準を下回ると、キルスイッチによる停止など事前に決めた対応を実行します(承認が必要な設定も選べます)。
- 新機能の多くは2026年11月にベータ、2027年1月に一般提供の予定です。
Salesforceは2026年10月27日、複数プラットフォーム上のAIエージェントを横断管理する「Agent Fabric」の拡張機能を発表しました。本番稼働中のエージェントの品質とコストを継続的に見張り、問題があれば自動で止める仕組みの提供を予定しています。
見えない劣化とコスト超過を、後追いでなく継続的に検知
これまでAgent Fabricは、複数のプラットフォームに散らばるAIエージェントを自動検出し、統制する役割を担っていました。今回追加される「Agent Evals」は、デプロイ前にテストを自動生成し、本番環境でもエージェント・LLM・MCPサーバーの挙動を品質のしきい値に照らして継続的に評価する機能です。Salesforceは、ライブトラフィック上でエージェントを評価している組織は半数に届かないと指摘しており、エージェントが気づかれないまま誤った回答を出し続けるリスクに対応するものと位置づけています。あわせて、コスト面では「FinOps Dashboard」と「Model Wallet」でAI支出を一元的に可視化し、予算を超える前にリクエストを止める上限設定ができるようになります。

基準を下回ったら、キルスイッチで隔離してから原因を直す
基準を下回った場合の対応は、あらかじめ決めておいたルールに沿って実行されます。既存の「Agent Kill Switch」機能でエージェントを止めるほか、チームのポリシーによっては人の承認を挟む設定も選べます。Salesforceが挙げる例では、小売業者がコスト削減のため注文対応エージェントを安価なモデルに切り替えたところ、配送遅延について不正確な回答をするようになった想定場面で、Agent Evalsが隔離の承認を求め、チームが修正・再評価して本番に戻す流れを説明しています。社内システムやサードパーティ製プラットフォームで動くエージェントも対象に加える「Custom Agent Scanner」も合わせて拡充され、独自のスキャナーでエージェントやMCPサーバーを管理台帳に登録できるようになります。
提供時期と、導入前に確認したいこと
Agent EvalsとAPI Evals(API仕様からテストを自動生成し、破壊的変更を事前検出する機能)は2026年11月にベータ提供を開始し、2027年1月に一般提供の予定です。Custom Agent Scannerは発表時点でベータ提供中、Agent Kill SwitchやFinOps Dashboardなど一部機能は既に一般提供されています。評価結果から停止を起動するTriggered-Agent Kill Switchは2027年1月に一般提供予定です。対象プランや個別の料金はこの発表では明らかにされていないため、導入を検討する場合は自社が使っているSalesforce・MuleSoftの契約範囲に含まれるかを担当窓口に確認するとよいでしょう。
まとめ
複数のプラットフォームでAIエージェントを運用し、品質やコストの見落としに不安がある場合は、今回の拡張が選択肢の一つになります。似た課題にはNVIDIAが公開したAIエージェントの安全基盤のようにベンダーごとに異なるアプローチもあるため、自社が使うプラットフォームとの相性を見て比較するとよいでしょう。
※ 2026年10月時点の情報です。