この記事のポイント
- Gemini 3.5 Transcribeは85以上の言語に対応する音声認識モデルです。
- ライブ音声と録音音声でAPIが分かれ、録音側は話者と時刻を付けられます。
- 公開された誤り率は特定評価の結果で、議事録の完成度とは別に測ります。
Googleの公式発表をもとに、音声認識の評価値と提供先を紹介します。話者数や言語、利用する入口ごとの条件を整理します。
Gemini 3.5 Transcribeとは
Gemini 3.5 Transcribeは、Google DeepMindが公開した音声認識モデルです。Google公式ブログによると、前身の「Chirp 3」からの大幅な進化と位置づけられ、85以上の言語を自動判別して文字起こしできる点が特徴です。用途に応じて2つのAPIに分かれており、リアルタイム会話向けの低遅延な「Live API」(gemini-3.5-transcribe-live)と、会議の録音や通話ログなど収録済み音声向けに話者識別・タイムスタンプ付きで処理する「Interactions API」(gemini-3.5-transcribe)が用意されています。

何が進化したのか:精度と新機能
公式ブログでは、第三者機関「Artificial Analysis」による計測値として、単語誤り率(WER。文字起こし結果が正解とどれだけズレているかを表す指標で、低いほど高精度)がストリーミング処理で平均4.0%、収録済み音声の処理で平均2.6%だったと紹介されています。書き起こし結果が出るまでの時間もChirp 3比で70%短縮したとのことです。数値以外でも、実務で嬉しい機能が並びます。
- スマートな整形:言い直しを自動で汲み取り、「えー」「あの」といったフィラー(言い淀み)を除去して読みやすく整形する
- カスタム語彙認識:専門用語や固有名詞のスペル・読みを事前登録し、認識精度を上げられる
- 話者識別:収録済み音声で最大3名までの発言者を識別し、タイムスタンプ付きで書き起こせる(3名超は実験的対応)
- 雑音・数字への強さ:郵便番号や注文番号のような英数字混じりの情報も、ノイズの多い実環境で正確に拾えるとされています
これらはGoogle公式ブログの計測・説明であり、第三者による再現検証ではない点には留意する必要があります。
議事録・音声メモの効率化にどう使えるか
ビジネス活用で特に注目したいのが、収録済み音声向けの「Interactions API」です。公式ブログでは想定用途として「会議」「通話ログ」「通話後の分析パイプライン」が明記されており、話者識別とタイムスタンプが標準で付くため議事録作成との相性はよさそうです。一般ユーザー向けの入口も用意されています。
| 提供先 | できること | 提供状況 |
|---|---|---|
| Gemini API / Google AI Studio | 開発者が自社サービスに音声文字起こしを組み込む | パブリックプレビュー |
| Gemini Enterprise Agent Platform | 企業向けエージェント基盤での音声処理 | パブリックプレビュー(カスタマー対応向けは近日提供予定) |
| Gboard「Rambler」(Android) | スマホのキーボードから話すだけで整った文章を入力 | 一部の国・言語で利用可能 |
| Gemini app(macOS) | 音声での要約・ファイル操作・画像生成などの音声コマンド | 英語で利用可能 |
| Google Antigravity | 画面の文脈を踏まえた音声入力 | 利用可能 |
| Chrome | Webの入力欄でどこでも音声入力 | 近日提供予定 |
議事録を自動出力する専用機能というより、「精度の高い音声文字起こしの土台」が各所に配られ始めた段階です。自社フローへの組み込みにはInteractions APIでの開発が必要で、日本語対応の詳細は今後の公式ドキュメント更新を追う必要があります。
まとめ:認識の精度と議事録の品質は別の評価
業務記録への利用では、話者・言語・用語をそろえて比較します。文字起こし後の修正・確認も含めて評価しましょう。
※2026年8月27日の発表に基づく記事です。プレビューの提供状況はGoogle公式発表でご確認ください。