この記事のポイント
- MicrosoftのStreaming文字起こしは話している最中から仮の字幕を表示する設計。60言語を自動で判定します。
- 音声生成は23言語に対応する通常版と軽量版を追加。声の複製には本人の同意が必要で、Azureでは利用制限があります。
- Azure Speechでは公開プレビューで本番利用は非推奨。文字起こしの1時間0.54ドルは2026年末までの導入価格です。
Microsoftの公式発表から、文字起こしと音声出力の更新を紹介します。提供先ごとの条件と、制作・対話で評価する点を整理します。
文字起こし1種と音声生成2種を追加
Microsoft AIは2026年10月1日、音声まわりの新モデル3種を発表しました(公式発表)。ひとつは文字起こしモデル「MAI-Transcribe-2-Streaming」。発話が終わるのを待たず、話し始めてから100ミリ秒強(約0.1秒)で仮の文字起こし結果を表示し始める低遅延設計で、60言語の自動判定に対応します。第三者機関Artificial Analysisのベンチマークで、最終的な精度・途中経過の精度の両方で首位、字幕が現れる速さは同社の内部評価で最も近い競合の2倍としています。
残る2つは音声を生成するモデルです。「MAI-Voice-2.1」は23言語・26地域のアクセントに対応し、1つの声をそのまま多言語で自然に話させられます。同意を得た声の短い音声から複製する機能もありますが、Azureでは利用が制限されています。軽量版の「MAI-Voice-2.1-Flash」は、45秒分の音声をわずか150ミリ秒で生成できる速さが売りで、同社によると同等モデルとの比較でモデルの処理は55%速く、コストは約6割安いとされています。

社内の音声業務に合う処理方式と提供先を選ぶ
同社は8月に音声をまとめて処理する文字起こしモデル「MAI-Transcribe-2」を公開済みで、このときの内容は以前の記事で紹介しました。今回のStreaming版はその発展形で、音声が終わるのを待つ従来方式に対し、話している最中からリアルタイムで字幕を出せる点が最大の違いです。価格は年末までの導入価格として1時間あたり0.54ドルとしています。3モデルともMicrosoft Foundry、MAI Playground、Vercelから利用でき、OpenRouterでは音声生成の2モデルを提供します。想定用途は問い合わせ対応や多言語の音声アシスタント、対話型の学習教材です。Azure Speechでは公開プレビューで、本番運用は推奨されていません。
声の複製という観点では、ElevenLabsのv4のように、10秒程度の音声サンプルから声を再現する技術も登場しており、比較検討の材料になります。
まとめ:途中の字幕・確定後の精度・待ち時間を分けて評価
字幕を評価する場合は、社内用語を含む同じ音声で、途中の表示と確定後の誤りを分けて記録するとよいでしょう。音声応答なら通信を含む待ち時間も判断材料になります。2026年末までの導入価格による試算と、その後の料金・提供条件を分けることで、試行と本番採用を別々に判断できます。
※2026年10月時点の情報です。
文字起こしの精度が上がっても、会議の要約自体が雑になりやすいという別の課題もあります。議事録のAI要約が雑になる理由と、ひと工夫で変える方法で整理しています。字幕の正確さと、その後の要約の品質を分けて確かめると、自社の会議や問い合わせ対応のどこを改善したいか整理しやすくなるでしょう。