フィジカルAI

Boston DynamicsのSpot、Geminiで検査精度を強化

この記事のポイント

  • Spot・Orbit 5.2はGeminiを使う目視検査を強化。掲示板や油量確認の小窓など、産業現場の点検を支援します。
  • 動画で水漏れなどを調べる機能はAIVI-Learning限定。ガス検知にはMFEの専用機器との連携が必要です。
  • Orbitは設備単位で点検結果をまとめる管理方法へ変更。設備台帳や外部センサーの情報と結び付けます。

Boston Dynamicsの公式ブログから、現場点検向けの更新を紹介します。検査機能の追加と、設備台帳につなぐ管理方法を分けて整理します。

Geminiで目視検査を強化、動画にも対応

Boston Dynamicsが公式ブログで、ロボット「Spot」と管理ソフト「Orbit」の最新版5.2を発表しました。現場の画像や動画を調べる機能と、点検結果を設備ごとにまとめる仕組みを強化した更新です。

発表によると、Orbitの目視検査機能AIVIが、産業データで学習したGoogle Geminiを活用し、視覚検査の精度を強化しました。対象は5Sボード(整理整頓の状態を示す掲示板)やサイトグラス(機械の油量を目視確認する小窓)、ゲージといった、専門知識が必要な検査項目です。

さらに、AIVI-Learningでのみ利用できる動画検査も追加され、ポンプの水漏れやベルトの滑りといった「動いている最中にしか分からない異常」も検知できるようになりました。ガス検知や画像からの振動解析など、故障の兆候をつかむ予知保全機能も加わりました。ガス検知にはMFEの専用機器との連携が必要です。

点検結果を社内の設備台帳と結びつける

もう一つの変化が、管理ソフトOrbitの構造転換です。これまでは検査結果を1件ずつ見る形でしたが、今回から設備(資産)単位で管理する形に変わりました。CMMS(設備の保守記録を管理するシステム)などに合わせた設備階層を取り込めます。外部センサーやカメラのデータをつなぐ接続窓口(API)も用意され、点検結果を設備の位置や種類、重要度と紐づけてダッシュボードに集約できます。

想定されている現場は、製造業やエネルギー、建設、倉庫物流など。設備の点検と、その結果を保守業務へ引き継ぐ流れを一緒に検討する材料になります。

四脚ロボットによる設備の点検と検査記録の集約

まとめ:検知したい異常と、保全担当への引き継ぎを確認

設備点検を検討する場合は、異常の種類と、静止画・動画のどちらが必要かを整理するとよいでしょう。契約条件や必要機器を確認したうえで、結果を保全担当がどう判断するかまで試す方法が考えられます。検知機能の多さだけでなく、既存の対応手順とのつながりが比較の軸になります。

※2026年10月時点の情報です。

ヒューマノイド・産業用ロボットの開発は海外勢だけでなく、国産の「ugo Nova」のような機体も双腕で最大10kgの可搬を実現しています。

現場点検へのAI活用は国内でも進んでおり、NTTが水平誤差75cm以内という精度で漏水位置を特定する実証を報告しています。検査対象や条件は異なるため、自社では何を検知し、誰が結果を判断するかを明確にして比較するとよいでしょう。

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馬渡 徹郎 / Tetsuro Mawatari ホームページ

AI新規サービス開発や大手企業のAIエージェント導入支援をしています。