この記事のポイント
- Claude APIなどが処理の流れを監視ツールへ送る機能を試験提供。失敗や遅延が起きた箇所を調べる材料になります。
- 初期設定は処理時刻などの記録のみ。全文を記録する設定では入力や回答も監視基盤に送信されます。
- 利用側のSDKと提供側のAPIで記録できる処理が異なります。追跡の目的に合わせて設定と保存条件を選びます。
AnthropicはClaude APIなどで、OpenTelemetryによるトレース機能をベータで提供しています。エージェント監視で見える処理と、記録先に送る内容を整理します。
処理の流れを記録し、失敗や遅延の箇所を追う
OpenTelemetryは、システムの動作記録を共通の形式で集める仕組みです。1つのリクエストが処理される一連の流れを「トレース」、その中の1つの処理単位(モデルへの問い合わせやツールの実行など)を「スパン」と呼びます。Claudeをアプリから呼び出す開発用部品(SDK)と、提供側のAPIがこの記録を出力することで、Datadog・Grafana Cloud・Sentry・Honeycombなど、共通規約に対応する監視ツール上で、Claude関連の処理を区別して表示できます。
SDKではコードでの設定、APIではClaude Consoleへの送信先追加が必要です。API側の設定には管理者権限が必要です。SDK側のトレースとAPI側のトレースを両方設定すれば、1つのリクエストの中でSDKとAPIどちらの処理も1本のトレースとしてまとめて確認できます。ただしClaude Platform on AWSでは、API側のスパンは別のトレースになります。

記録内容と保存条件を設定で選ぶ
個々の記録には、モデルへの問い合わせごとの応答時間や、文章量などを数えるトークンの使用量、ツール実行の成否などが記録されます。公開設定(コンテンツモード)は処理時刻や成否などの「メタデータのみ」が初期設定で、プロンプトや応答の本文まで見たい場合は「フルコンテンツ」に切り替える必要があります。フルコンテンツを選ぶと障害原因の特定や会話全体の確認がしやすくなる一方、プロンプトや応答の内容が監視基盤側にも送られることになるため、保存期間やアクセス権限が自社の要件を満たすか確認するとよいでしょう。米国の医療情報保護に関するHIPAAなど、一部のデータ取り扱い制限が適用される組織では、API側の送信先には設定にかかわらずメタデータのみが送られます。ただしSDK側のスパンはこの制限の対象外です。
記録は送信途中で失われる場合があるため、全利用量の集計には専用のUsage APIを使い分ける案内になっています。
まとめ:追跡の範囲と送信する内容を選ぶ
Claudeを使うサービスの監視を担当する方は、SDK側とAPI側で見える処理の違い、記録する内容、監視基盤の保存条件を照らし合わせると、必要な設定を整理しやすくなります。動作の調査と利用量の集計で、必要な記録の範囲を分ける考え方もあります。
複数の処理を分担するManaged Agentsの動的ワークフローを運用する場合も、どの処理で失敗したかを追う記録と、全体の利用量を集計する記録を分けて用意すると、運用時に調べる範囲が明確になるでしょう。
※2026年10月15日に確認した公式文書に基づく情報です。