フィジカルAI

スマホの動画がロボットの先生になる、Figure AIの学習基盤「Index」

この記事のポイント

  • Figure AIのIndexは、人の作業動画を集めロボット学習データにするアプリです。
  • 同社は動画1,600万本超と今後12か月の10億ドル超の投資計画を公表しました。
  • データ量の拡大だけでは、自社の作業への適合や安全性は分かりません。

Figure AIの公式発表をもとに、Indexが担う学習データ収集の仕組みを紹介します。公表された規模と、ロボットの動作を確かめる工程との関係を整理します。

「Index」とは何か、なぜ一般ユーザーの動画が必要なのか

Figure AIが公開した「Index」は、一般ユーザー(Creatorと呼ばれます)が日常生活や職場でこなす作業をスマートフォンで撮影・アップロードし、それをヒューマノイドロボット「Figure 03」の頭脳であるAIモデル「Helix」の学習データにするアプリです(Figure AI公式発表)。Helixは、認識・移動・判断をリアルタイムに統合してこなす「汎用のビジョン言語行動モデル」で、スキルを重ねながら時間とともに賢くなっていくと説明されています(Figure AI公式「Helix」ページ)。Figure 03自体はすでにBMWの工場で稼働を始めていることを以前の記事でお伝えしましたが、今回のIndexはその「現場で働く体」を支える「学ぶ仕組み」の話だと考えるとわかりやすいはずです。

Figure AIは、ロボットが現実の作業を学ぶには、インターネット上の映像だけでなく、実際の物や環境を扱うデータが必要だと説明しています(Figure AI公式発表より、筆者訳)。ロボットが家庭やオフィスの作業をこなすには、モノの掴み方・動線・力加減といった、テキストや一般的な動画サイトには残っていない「身体を伴う情報」が欠かせません。そのため、世界各地の人がスマートフォンで実作業を記録する仕組みを用意しました。フィジカルAIの基礎で触れたとおり、現実世界を認識して動くAI全般に共通する課題でもあります。

「人の作業動画をロボットの学習へ」を表したイラスト

数字で見る規模感と、今後12か月で10億ドル超の投資

ステルスモード期間だけで、Figure AIは次の実績を公開しました(Figure AI公式発表)。

指標 実績
アプリダウンロード数 100か国超で26万4,000件
週間アクティブユーザー 4万4,000人超
投稿された動画本数 1,600万本超
アップロード処理速度 毎秒30分相当の動画
Creatorへの支払い累計 1,500万ドル
データの多様性(1,000時間あたり) ユニークタスク373・ユニークオブジェクト1,146・ユニーク環境116

1,600万本という動画本数もさることながら、「1,000時間あたり373種類のタスク」という多様性の数字は、単に量を集めただけでなく幅広いシチュエーションを拾えていることを強調したい意図がうかがえます。Figure AIは今後12か月間、データと計算基盤(コンピュート)に10億ドルを超える投資を行うと表明しています(同発表)。Figure 03がBMWの工場で稼働を始め、量産体制のBotQも動き出している最中に、学習データの基盤まで一気に整えてきたことになります。

まとめ:学習データと実機での適合を分ける

製造や物流でロボットを検討する方には、学習データを集める工程と実機で確かめる工程の違いが参考になります。データが増えたことだけでは、自社の作業への適合は決まりません。対象動作と撮影条件を読み、事例の結果がどこまで当てはまるかを考えるとよいでしょう。

※ 2026年8月時点の情報です。ダウンロード数・投稿本数などの実績値は今後さらに更新される可能性があります。

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馬渡 徹郎 / Tetsuro Mawatari ホームページ

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