この記事の要点
- Figure AIはFigure 03をBMWの米国工場へ配備したと2026年6月30日に発表しました。
- 自社量産拠点BotQは、初期世代のラインで年間最大12,000体の製造能力を持つと説明しています。
- 工場配備と量産の進展が示される一方、製造能力は現場の稼働率や費用対効果とは別です。
Figure AIの公式発表をもとに、工場配備と量産体制の動きを紹介します。実際の作業事例と製造能力を示す数値を分けて整理します。
Figure 03、BMWの工場で稼働開始
Figure AIは2026年6月30日、ヒューマノイドロボット「Figure 03」を米BMWグループのスパルタンバーグ工場(サウスカロライナ州)に配備したと発表しました。配備先は組立・ロジスティクスを担うホール52で、複数の手を使いながら足を動かし、重いカートを引くといった、より複雑な作業をこなせるようになっているといいます(Figure AI公式発表)。前世代の「Figure 02」は2025年時点でBMWの車両組立に貢献してきた実績があり、Figure 03はその発展形です。Figure AIは「Figure 03は、幾世代にもわたって製造ロジスティクスのボトルネックだった、認知的な判断と器用さを兼ねた作業を、汎用の物理AIが習得できることを実証している」とコメントしています(同発表)。

量産を支える自社工場「BotQ」
Figure 03を支えているのが、Figure AIが自社で構える量産拠点「BotQ」です。製造プロセスをすべて自社(in-house)で完結させ、ビルドプロセス・品質管理・出荷までを一貫して管理する方針を掲げており、初期世代の製造ラインだけで年間最大12,000体のヒューマノイドロボットを製造できる能力を持ち、そこからさらにスケールアップしていく計画だとしています(Figure AI公式「BotQ」発表)。Figure 02のプロトタイプ生産で得た知見をもとに、Figure 03の量産では射出成形・ダイキャスト・金属射出成形・プレス加工など量産向けの工法に切り替えたほか、ヒューマノイドロボット自身が別のロボットの製造工程に関わる自動化も進めているといいます(同発表)。
「実験室を出た」ヒューマノイドロボットの現在地
Figure 03のBMW配備が象徴しているのは、ヒューマノイドロボットが「デモ動画の中の存在」から「実際の生産ラインで働く機材」に変わりつつある、という現在地です。Unitreeなど他社のヒューマノイドも2025年から量産・出荷の規模を急速に拡大しており、業界全体が同じ方向に動いています。こうした動きは、現実世界を認識して行動する「フィジカルAI」という大きな潮流の一部でもあります。背景はフィジカルAIって何?NVIDIAの構想から理解するで解説しています。ロボットを賢くするための学習データづくりも本格化しており、Figure AIの学習データ基盤「Index」の記事で紹介しています。
まとめ: 自社工程での検証条件を決める
製造や物流の設備を検討する方には、工場配備の事例と自社工程の条件を比較する材料になります。年間の製造能力は、現場の稼働率や費用対効果とは別の数値です。動線・荷物・保守条件が近いかを見比べると、必要な検証の範囲を考えやすくなります。
※ 2026年8月時点の情報です。生産台数・稼働状況は今後拡大する可能性があります。
量産を支える「頭脳」の面では、工場ロボットの制御ソフトをGoogle系企業が無料公開した動き(工場ロボットの頭脳「Intrinsic Core」、Googleグループが無料公開)や、Figureのロボットが未知の家30軒で家事をこなした検証結果(FigureのHelix 2.5、未知の家30軒で家事を検証)も、量産体制と並行して進む技術側の動きとして参考になります。