AIエージェント

GMOがGoogle Cloudと提携、AIエージェント前提へ業務を再設計

この記事のポイント

  • GMOとGoogle CloudはAIエージェントが担う業務を前提に再設計する共同プロジェクトを始めます。
  • 国内の約6,000人に利用環境を整え、業務・共通データ・顧客サービス・防御の4分野を一緒に計画しています。
  • 目標日は2027年11月30日。データや指標の定義を統一し、部門をまたぐ分析・判断を支える基盤づくりも進めます。

GMOが2026年10月9日に発表した協業を、全社の基盤づくりという観点から紹介します。業務の再設計と、データ・顧客サービス・防御の関係を整理します。

GMOとGoogle Cloudが描く「エージェント前提」の業務改革

プロジェクトの開始決定は2026年9月24日付です。GMOが30年以上かけて築いたインターネットインフラ・セキュリティ・決済・ECの基盤に、Google CloudのAI・クラウド・データ分析技術を組み合わせます。目標は2027年11月30日までに「日本で最もハイパーオートメーション化された企業グループ」、つまり業務全体の自動化を広く進める組織になることだと発表では説明されています。利用環境の整備と、業務の進め方の見直しを並行する計画です。

4つの柱で進む具体的な取り組み

取り組みは4つの柱に整理されています。(約6,000人は利用環境を整える対象で、導入完了人数ではありません。)

  • 業務プロセスの再設計(Agentic Workflow): 国内パートナー約6,000人に、Google Cloudの「Gemini Enterprise」と「Google Workspace」を利用できる環境を提供します。グループ各社が集まり、短期間で試作品を作るAIハッカソンも計画し、実業務の課題をテーマにしたエージェントの試作を通じて人材育成を進めます。
  • 共通データ基盤(Data Agent): データ分析に使う「BigQuery」と「Looker」で各社のデータ・指標の定義を統一し、AIエージェントが横断的に分析・意思決定を支援できる環境を整えます。
  • EC・決済などの新サービス(Agentic Commerce): EC・決済・インフラ事業にAI技術を組み込み、AIエージェントが利用者の目的を理解して複数サービスをつなぐ、新しい顧客体験を目指します。
  • セキュリティ強化(Agentic Defence): セキュリティ各社の知見に、Google Cloudの「Wiz」「CodeMender」「Mandiant」を組み合わせ、AI時代の脅威への検知・分析・対応を強化します。

将来的には、Googleの「Gemini Robotics」とGMO AI&ロボティクス商事の知見を組み合わせたロボットなど現実の環境で動作するフィジカルAI分野への展開も視野に入れているとのことです。

業務の書類、データ基盤、買い物かご、防御の盾を並べた四つの取り組み

まとめ: 自社のエージェント導入計画を考える材料に

GMOの発表は、業務の再設計だけでなく、共通データ基盤・顧客向けサービス・セキュリティを一緒に計画する事例です。導入の進め方を考える材料としては、Anthropicが公開した本番移行の設計図や、企業向けエージェント基盤「North 2」も参考になります。

全社的なエージェント活用を検討している方は、4つの柱のうち自社の課題に近いものを見比べるとよいでしょう。導入規模をそのまま当てはめるより、対象業務と必要なデータの定義を対応づけることで、自社で先に整える基盤を考える材料になります。

エージェントの学習・評価基盤という観点では、Googleのベンチマーク環境構築ツール「EnvHarness」も技術的な背景として参考になります。Geminiのエージェント機能の広がりとしては、動画の該当場面を自動で探す「エージェント型動画理解」も関連する取り組みです。

全社展開を考える際は、利用人数の拡大だけでなく、部門間で同じデータや指標を使えるかを確かめると、先に整えるべき基盤を見つけやすくなるでしょう。

※ 2026年10月時点の情報です。

著者プロフィール

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馬渡 徹郎 / Tetsuro Mawatari ホームページ

AI新規サービス開発や大手企業のAIエージェント導入支援をしています。