この記事のポイント
- RAIDENは小さなチップを1・2・4枚組み合わせる設計。構成を変えても、共通の開発ソフトウェアを使います。
- X4の最大3.36PFLOPSは数値形式と計算を省く方式に条件がある仕様値。実際の応答速度とは別です。
- 川崎重工が次世代製品向けに選定。サンプルは2027年初め、量産は同年後半の予定と発表されています。
EdgeCortixの公式発表と仕様表から、産業向け半導体を紹介します。構成の拡張性と、開発・供給の段階を整理します。
小さなチップを組み合わせ、用途に合わせて拡張
EdgeCortixは2026年9月24日の公式発表で、RAIDENを公開しました。「チップレット」とは、ひとことで言うと、小さなチップを複数組み合わせてひとつのシステムにする作り方です。この小さなチップを「ダイ」と呼びます。
RAIDENはダイ1枚のX1、2枚のX2、4枚のX4を用意する設計です。共通の計算方式と開発ソフトウェアを使うため、用途に応じて構成を変えても、それまでのソフトウェア開発の成果を引き継げるようにすることを目指しています。X1とX2の詳しい仕様は今後発表される予定です。
製品ページの仕様表によると、最上位のX4は、FP4という4ビットの数値形式を使った計算で最大3.36PFLOPS、メモリ容量は最大256GBを掲げています。計算性能は、値がゼロの部分を利用して計算を省く「2:4スパース性」という条件付きの値です。PFLOPSは計算性能の単位で、1PFLOPSは1秒あたり1,000兆回の浮動小数点演算に当たります(特定モデルの応答速度ではなく、メーカーの仕様値です)。

川崎重工が次世代製品に採用、量産は2027年後半の予定
RAIDENが対象にするのは、ロボットや工場設備など、現実世界の状況を認識して動作につなげる「フィジカルAI」です。大規模なデータセンターだけで処理するのではなく、機械やセンサーの近くで計算する用途を想定しています。
公式発表によると、川崎重工業は次世代の航空宇宙・防衛向け製品にRAIDENベースのソリューションを選定しました。米国のUnigenも、RAIDENを使ったサーバー基盤を開発しています。発表は次世代製品への選定で、搭載製品の出荷・稼働の報告ではありません。
顧客向けサンプルは2027年初め、量産は同年後半を予定しています。現在は条件を満たす顧客・提携先向けの早期アクセスプログラムが開かれており、開発中の製品について相談し、サンプルの優先提供の検討を受ける段階です。
まとめ: 仕様だけでなく、用途と開発環境も確認する
組み込みAIを開発する方には、共通ソフトウェアと構成の拡張性が比較の軸になります。必要なモデル・メモリ・電力を整理し、サンプルと量産の予定を開発日程に照らすとよいでしょう。最大演算性能だけで採用せず、搭載環境で検証できる条件を確認する段階です。
※本記事は2026年9月時点の公式発表に基づきます。
フィジカルAI向け半導体への投資という点では、SiMa.aiが1.5億ドルを調達し評価額14.5億ドルに達した動きもあります。
エッジ向けAIチップの新顔としては、Synapticsが発表した新エッジAIチップ「Astra SR200」も登場しています。用途や提供段階の違いを揃えて比べると、自社の開発日程に合う候補を検討しやすくなるでしょう。