フィジカルAI

Synapticsが新エッジAIチップ「Astra SR200」を発表

この記事のポイント

  • Synapticsが、端末内でAIを動かす新しいチップ分類「xMCU」とAstra SR200シリーズを発表。
  • 小型機器に使うマイコンの電力・コストの枠で、より高い処理性能とメモリ容量を目指す設計です。
  • 時計や家庭用カメラ、産業用センサーなどが想定用途で、価格や発売時期は今回の発表では未記載です。

Synapticsは2026年10月20日、エッジAI向けの新しいチップの分類「xMCU」を公式ブログで発表しました。第1弾の製品ファミリーが「Astra SR200シリーズ」です。価格や発売時期は今回のブログには記載されていません。

MCUの電力・コスト枠で高い処理性能を目指す

小型機器の制御に使う省電力・低コストのチップが、マイコン(MCU)です。xMCUはその電力・コストの枠で、より高性能なプロセッサー(MPU)に近い処理を目指しています。Synapticsによれば、従来のMCUで複雑なAIを動かそうとすると複数チップ構成になりがちでコストや消費電力が増え、逆にMPUを使うと発熱管理や基板設計、外付けメモリの扱いが課題になっていました。xMCUは、複数の種類の演算回路と、処理中のデータを一時的に置き、高速に読み書きする専用メモリ(カスタムDRAM)を組み合わせることで、この板挟みを解消しようとする狙いです。

背景には、クラウドに頼らず端末側でAIを処理する「エッジAI」への移行があります。応答の速さやデータを外部に送らないプライバシー、通信コストの削減が理由として挙げられています。さらに、AIデータセンター向けの需要でメモリ(DRAM)の価格が上がっており、専用メモリを統合して部材コストを抑える設計がより重要になっているとSynapticsは説明しています。

マイコンの電力枠で視覚や音声の処理とメモリを組み合わせるチップの設計方針

映像・音声・センサーの情報を端末内で処理する

Astra SR200シリーズは、AIの計算を専門に行う回路「Torq NPU」を搭載し、生成AIなどに使われるTransformer方式のモデルに対応します。画像表示の処理やチップに組み込んだセキュリティ機能、回路ごとに電力を管理する省電力設計なども備えるとされています。ソフトウェアは、公開されたプログラムを活用するオープンソースの開発環境を提供する方針です(対応範囲の詳細は未記載)。

想定用途としてSynapticsが挙げるのは、スマートウォッチやARグラスなどのウェアラブル、ビデオドアベルやスマートカメラといったスマートホーム機器、そして産業用エンドポイントやロボティクス向けの複数のセンサーの情報をまとめて処理する仕組み(センサーフュージョン)です。

まとめ:機器に必要な処理と電力条件から見る

今回示されたのは、端末内で複数の情報を処理するための設計方針です。具体的な採用製品や量産時期は、今後の発表で確認する段階です。エッジAI機器の企画・調達に関わる方にとっては、今後の製品ページや量産発表を追う材料になります。産業向けのエッジAIチップを採用した例としては、川崎重工が採用したEdgeCortixの「RAIDEN」もあります。想定するモデルや電力条件と製品の提供段階を分けて見ると、候補の位置づけを整理しやすくなるでしょう。

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馬渡 徹郎 / Tetsuro Mawatari ホームページ

AI新規サービス開発や大手企業のAIエージェント導入支援をしています。